Googleビジネスプロフィールは無料で作成・掲載できるため、MEO対策はクリニック・診療所が費用をかけずに始められる集客の施策です。「近くの内科」「○○市 皮膚科」と検索した患者さんにGoogleマップ上位で見つけてもらえるかどうかが、予約数を大きく左右します。
本記事では、クリニック向けのMEO対策を基礎から実践的な運用方法まで、ステップごとに解説します。
なぜクリニックにMEO対策が必要なのか
患者さんが医療機関を探すときの行動から、背景を確認しましょう。
「近くのクリニック」を検索で探す人がいる
「内科 近く」「子供 発熱 クリニック」のような検索で、近くの医療機関を探す人がいます。
Googleマップの口コミは来院前の判断材料になる
患者さんが医療機関を選ぶ際は、Googleマップの口コミ・評価のほか、知人・家族の話、病院・クリニックの公式サイト、SNSなど複数の情報源を参考にします。
なかでもGoogleマップは、検索したその場で場所・診療時間・口コミをまとめて確認できるため、来院するかどうかを決める前に目にしやすい情報です。
MEOとSEOの違い
ウェブサイトのSEO対策も、MEO対策も、成果が出るまでの期間は一律には言えません。MEO対策は、Googleビジネスプロフィールの情報を整えるところから自院で始められます。地図の枠では診療圏(半径数km)の中で比べられるため、大手医療ポータルサイトとは別の枠で見つけてもらえる可能性があります。
クリニックのGBP基本設定|最初にやるべき7項目
1. 診療科目・医院名の正確な記載
GBPのビジネス名は看板・ウェブサイト・診察券などで実際に使っている正式名称と一致させてください。「○○クリニック(内科・外科)」など括弧内に診療科目を追加する業者もいますが、Googleのガイドライン違反となりリスクがあります。診療科目はカテゴリ欄とサービス欄で適切に設定しましょう。
2. カテゴリの選定
クリニックのカテゴリ設定は、どの検索クエリで表示されるかを決定する最重要項目です。
| 診療科 | メインカテゴリ | 追加カテゴリ(例) |
|---|---|---|
| 内科 | 内科医 | かかりつけ医、生活習慣病専門医 |
| 皮膚科 | 皮膚科医 | アレルギー専門医、美容皮膚科 |
| 整形外科 | 整形外科医 | リハビリテーション科、スポーツ医学 |
| 小児科 | 小児科医 | かかりつけ医(小児) |
| 歯科 | 歯科医師 | 矯正歯科、小児歯科 |
表のカテゴリ名は例です。実際に選べる名前は、管理画面で入力したときに出る候補で確かめてください。Googleのガイドラインは、中心となる業種を表すカテゴリを、できるだけ少なく、具体的に選ぶよう求めています。追加のカテゴリは実際に診療している科に合うものだけにし、表示される検索を増やす目的で足さないでください。
3. 診療時間・休診日の正確な設定
診療時間と休診日が不正確だと、来院した患者さんが閉まっていた、という事態を招きます。
設定のポイント:
- 曜日別の診療時間を細かく設定する(午前・午後の時間帯も個別設定可能)
- 祝日・臨時休診は「特別営業時間」で事前に設定する
- 変更が生じた場合は当日中に更新する
4. 電話番号と予約リンクの設定
GBPには予約リンクを設定できます。ウェブ予約システムを導入している場合は設定してください。電話番号は市外局番から記載し、正確であることを確認します。
5. ウェブサイトURL
公式サイトのURLを設定します。Googleのガイドラインは、実際のビジネスのウェブサイトとは別のページへ誘導するURLを指定しないよう求めています。ウェブサイトがない場合は、この欄に別のサービスのページを入れず、ウェブ予約は4の予約リンクで案内します。
6. 所在地・駐車場情報
住所は郵便番号・都道府県・市区町村・番地・建物名まで正確に記載します。駐車場の有無は来院を決める材料になるため、属性に駐車場の項目があれば設定し、台数や場所はビジネスの説明やウェブサイトにも書いておきます。
7. サービス欄の設定
GBPの「サービス」欄に診療内容を詳しく記載することで、検索との関連性が向上します。
内科の場合のサービス欄例:
- 生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質異常症)
- 風邪・インフルエンザ
- 健康診断・特定健診
- 予防接種(インフルエンザ・新型コロナ)
- 禁煙外来
- 往診・在宅医療
各サービスの説明文には、患者さんが検索しそうな言葉を自然に含めてください。
クリニック特有のMEO対策|医療広告等ガイドラインへの対応
クリニックのMEO対策で特に注意が必要なのが医療広告等ガイドラインへの準拠です。Googleビジネスプロフィールの情報も医療広告に該当する場合があります。ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)は、他の医療機関と比べて優良だとする広告、誇大な広告、患者の主観や伝聞に基づく治療の内容・効果の体験談、誤認させるおそれのある治療の前後の写真などの広告を禁止しています(厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」・2026年10月20日に確認)。
やってはいけない表現
- 「治療成功率100%」「絶対に治ります」など、効果を約束する表現
- 「○○病が専門のカリスマ医師」などの誇大表現
- 「近隣で唯一の」「地域No.1」などの比較優良広告
- 特定の薬品名を前面に出した宣伝
適切な表現の例
- 「内科・生活習慣病・禁煙外来に対応しています」(診療科目の説明)
- 「○○学会認定の専門医が在籍しています」(医療広告等ガイドラインで広告できるとされた専門性の資格に限る)
- 「土曜日の午前中も診療しています」(利便性の説明)
口コミ管理|クリニックのMEO対策の核心
Googleマップの口コミ評価は、新患獲得に直結します。クリニックの口コミ管理には特有のルールがあります。
口コミ収集の方法
クリニックでは患者さんに直接「Googleへの口コミをお願いします」と促すことができます。ただし、金品・割引と引き換えに頼むこと、良い口コミだけを選んで頼むこと、その場で書くよう求めることは、Googleのポリシーで禁止されています。医療広告等ガイドラインでも、医療機関が費用を負担するなどして口コミサイトへの体験談の掲載を頼んでいる場合は、広告に当たり得るとされています。
効果的な口コミ収集の手順:
- 会計時にQRコードカードを配布(GBPの口コミ投稿URLに直接リンク)
- LINE公式アカウントでフォローアップメッセージを送る
- 院内POPで「Googleマップで口コミをお願いします」と掲示する
口コミへの返信方法
クリニックが口コミに返信する際は個人情報保護が最重要です。
良い返信の例:
「口コミをお寄せいただき、ありがとうございます。スタッフへのお言葉が励みになります。引き続き患者様お一人おひとりに丁寧な診療を提供できるよう努めてまいります。」
悪い返信の例(やってはいけない):
「先日の○○の治療でご来院いただいた△△様、…」(受診事実や症状への言及はNG)
低評価口コミへの対応
1〜2星の否定的な口コミには冷静に、かつ誠実に返信します。「ご不便をおかけしましたことをお詫び申し上げます。詳細についてはお電話(○○-○○○○)でお聞かせください」と個別対応への誘導が基本です。
GBP投稿でエンゲージメントを高める
続けられる頻度でGBPに投稿すると、休診日の変更や予防接種の開始などを患者さんに伝えられます。投稿の頻度と順位の関係を、Googleは公表していません。
クリニックに適した投稿内容
| 投稿タイプ | 内容例 | 効果 |
|---|---|---|
| お知らせ | 年末年始の診療時間変更 | 来院ミスの防止 |
| イベント | インフルエンザワクチン接種開始 | 予防接種の予約促進 |
| 健康情報 | 花粉症の季節到来、対策のポイント | 専門性のアピール |
| ご挨拶 | 新スタッフ就任のご挨拶 | 親しみやすさの醸成 |
投稿時の注意点
- 疾患の「治る」「改善する」など、効果を約束する表現は使わない
- 写真を添付すると投稿の内容が伝わりやすくなる
- ハッシュタグは使用不要(GBPでは効果なし)
写真管理|患者さんの不安を解消する
クリニックの集患において、写真は患者さんの初来院の不安を解消する重要な役割を持ちます。
掲載したい写真
- 外観(昼間):どこから来れば良いか分かる角度で
- 外観(夜間・悪天候時):夜間診療がある場合
- 受付・待合室:清潔感が伝わる写真
- 診察室(雰囲気が分かる程度):患者さんが安心できる内装
- スタッフ写真:笑顔で白衣着用(マスクでも可)
- 医療機器:専門性のアピール
- 入り口付近の案内看板:初来院の患者さんのナビゲーション
写真のNG例
- ぼやけた・暗い写真
- 患者さんが写り込んでいる写真(個人情報)
- 他院・他施設の写真の転用
MEO対策の効果測定
GBPの管理画面(パフォーマンス)で以下の指標を月次でチェックします。
| 指標 | 確認内容 |
|---|---|
| 検索クエリ | どんなキーワードで表示されているか |
| 閲覧数 | Googleマップ・検索でプロフィールを見た人の数 |
| ウェブサイトクリック数 | GBPからサイトへのアクセス数 |
| 通話数 | プロフィールの通話ボタンが押された回数(電話がつながった件数ではない) |
| ルート案内リクエスト数 | 来院経路の確認数 |
これらの数値を、着手前の値や前年の同じ月と比べて確かめます。季節の病気の流行でも数字は動くため、前月との比較だけで判断しないようにします。
セルフチェックリスト|今日から始めるクリニックのMEO対策
- GBPのビジネス名が正式名称と一致しているか
- 診療科目のカテゴリが適切に設定されているか
- 診療時間・休診日が最新情報に更新されているか
- 電話番号・URLが正確か
- サービス欄に主要な診療内容が記載されているか
- 外観・院内・スタッフの写真が10枚以上掲載されているか
- 直近1か月以内にGBP投稿があるか
- 口コミに漏れなく返信しているか
- パフォーマンスで月次の数値を確認しているか
MEO対策は継続的な運用が鍵です。月1回のセルフチェックを習慣化するだけで、競合クリニックとの差別化が図れます。