ショート動画を内製するか外注するかは、月の本数と社内人件費で損益分岐点が決まります。試算の目安では、月1〜2本なら内製が安く、月4本以上を安定運用するなら人件費が膨らみ外注が割安になるケースが増えます。鍵は、内製の「見えにくい人件費・機材・学習コスト」を金額化して比較すること。本記事では、作業時間を金額に換算し、月間本数ごとの損益分岐点を試算して、外注判断の基準を示します。
内製が「タダ」に見える錯覚を金額で壊す
ショート動画を内製で進める事業者の多くは、「社員が空いた時間に作るから費用はほぼゼロ」と考えがちです。これは大きな錯覚です。なぜなら、社員が動画制作に使った時間には、本来その人が本業で生み出せたはずの価値(=人件費という機会コスト)が必ず発生しているからです。
内製の真のコストは、外部への支払いがゼロでも、人件費・機材費・学習コストという形で確実にかかっています。これらを金額化しない限り、「内製は安い」という判断は根拠のない思い込みになります。正しく比較するには、まず内製の隠れコストを数字に置き換える必要があります。
内製にかかる4つのコストを金額化する
内製のコストは、次の4要素に分解できます。それぞれを金額に換算します。
| コスト要素 | 内容 | 金額化の方法 |
|---|---|---|
| 人件費 | 企画・撮影・編集・分析の作業時間 | 担当者の時給換算 × 1本あたり作業時間 × 本数 |
| 機材・ソフト | 撮影機材・照明・編集ソフト | 初期投資÷耐用月数+月額ソフト費 |
| 学習コスト | 編集スキル・媒体知識の習得 | 習得にかけた時間 × 時給換算(初期に集中) |
| 属人化リスク | 担当者離脱時の運用停止損失 | 数値化しにくいが、リスクとして認識する |
このうち最大の項目は人件費です。1本あたりの作業時間を現実的に見積もると、企画30分・撮影60分・編集120分・投稿と分析30分で、合計約4時間が目安になります(慣れ・品質要求で変動します)。
仮に担当者の時給換算を3,000円(月給・諸経費込みで概算)とすると、1本あたりの人件費は4時間×3,000円=12,000円です。これに機材・ソフトの月割りを加えたものが、内製の実質コストになります。
月間本数別の損益分岐シミュレーション
内製と外注の費用を、月の本数ごとに試算して比較します。前提は次のとおりです(いずれも試算用の仮定値で、自社の数値に置き換えてください)。
- 内製:1本あたり人件費12,000円(4時間×時給換算3,000円)+機材・ソフト月割り10,000円
- 外注(運用代行):当社の月額ライト(月4本)450,000円・税抜を基準に1本あたり換算
| 月の本数 | 内製コスト | 外注コスト(参考) | 1本あたり比較 |
|---|---|---|---|
| 月1本 | 22,000円 | ― | 内製が割安 |
| 月2本 | 34,000円 | ― | 内製が割安 |
| 月4本 | 58,000円 | 450,000円(月額ライト) | 本数だけでは内製が安い※ |
| 月8本 | 106,000円 | 900,000円(月額プレミアム) | 本数だけでは内製が安い※ |
※この表は「作業を完遂できる前提」での単純比較です。ここに重大な注意点があります。
上の表だけを見ると「内製のほうが圧倒的に安い」と読めます。しかしこれは、担当者が月4本・8本を本業に支障なく、かつ運用代行と同等の品質・分析精度で作れる、という強い前提に立っています。現実には、この前提が崩れることで内製のコストは跳ね上がります。
表に出ない「内製が割高になる」3つの条件
単純な金額比較で内製が安く見えても、次の3条件に当てはまると、実質的には外注が割安になります。
1. 担当者の時間の機会コストが大きい
担当者が経営者や営業の中核人材で、その1時間が動画制作より本業で大きな価値を生む場合、動画に時間を割くこと自体が損失です。月8本=月32時間を本業に戻したとき、その時間で生まれる利益が外注費を上回るなら、外注が合理的です。「時給換算3,000円」で計算した人件費は、実際にはもっと高い機会コストを過小評価している可能性があります。
2. 品質と分析精度に差が出る
内製の試算は「運用代行と同等の成果」を前提にしていますが、実際には企画力・編集スキル・媒体アルゴリズムの理解度で成果に差が出ます。分析を踏まえた改善サイクルが社内で回らなければ、安く作っても成果につながらず、結果的に高くつきます。各媒体の評価ロジックの理解には相応の学習時間が必要です。
3. 属人化で運用が止まる
内製は担当者一人に依存しやすく、その人の異動・退職・休職で運用が完全に止まります。再構築には新たな採用・教育コストがかかり、それまでの投稿の資産価値も目減りします。チーム体制の運用代行はこのリスクが構造的に小さいのが利点です。
外注に切り替える判断基準
内製・外注の判断は、本数だけでなく「担当者の時間を何に使うのが最も儲かるか」で決めます。次のいずれかに当てはまるなら、外注の検討時期です。
- 月4本以上を投稿したいのに、社内の制作が追いつかず投稿が滞っている
- 担当者の作業時間を本業に戻したほうが、事業全体の利益が大きい
- 効果分析まで含めて改善サイクルを回したいが、社内に知見がない
- 担当者の離脱で運用が止まるリスクを避けたい
逆に、月1〜2本で十分・社内に編集できる人材がいて本業を圧迫しない、という状況なら内製が合理的です。費用相場の全体像は、関連記事「ショート動画制作の費用相場2026」も併せて確認してください。
ハイブリッドという選択肢
内製か外注かの二択ではなく、工程を分担するハイブリッドも有効です。たとえば、撮影は店舗スタッフが行い(現場の素材は内製のほうが自然)、企画・編集・分析は外注する、という分担です。これにより、現場感のある素材を活かしつつ、専門性の高い工程は外部に任せられます。
当社の運用代行でも、撮影素材の一部をお客様側で用意いただき、企画・編集・分析を当社が担う形に柔軟に対応しています。誇張なく整理すると、「現場の素材は社内にあるが、企画・編集・分析の専門性とチーム体制が欲しい」という事業者に、このハイブリッドは特に適しています。
まとめ:本数ではなく「時間の使い道」で決める
ショート動画の内製・外注の判断は、月の本数と社内人件費で損益分岐点が決まります。単純な金額比較では月4本でも内製が安く見えますが、それは「担当者が本業に支障なく、運用代行と同等の品質・分析で作れる」という強い前提に立った数字です。
実際には、担当者の機会コスト・品質と分析精度の差・属人化リスクを加味すると、月4本以上の安定運用では外注が割安になるケースが増えます。判断の軸は本数ではなく、「担当者の時間を何に使うのが最も儲かるか」です。工程を分担するハイブリッドも現実的な選択肢になります。
「内製の限界が見えてきた」「企画・編集・分析だけ任せたい」という場合は、当社が柔軟に分担して伴走します。ショート動画は単発1本150,000円〜、月額ライト(月4本)450,000円、月額プレミアム(月8本)900,000円(いずれも税抜)です。詳細は動画制作・運用支援のサービスページをご覧ください。自社の状況を整理したい方は、無料の各種診断ツールもご活用ください。
