日本のLINE利用率は全年代で91.1%、YouTubeは80.8%、平日のインターネット利用時間は181.8分でテレビ視聴の154.7分を上回りました(いずれも総務省「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」2025年6月公表)。さらに2024年の国内BtoC-EC市場規模は26兆1,225億円に達しています(経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」2025年8月公表)。本記事は、中小企業の集客の前提となる日本のSNS・動画利用実態を、政府・公的調査の検証可能な実数値だけでまとめた一次情報レポートです。引用・参照しやすいよう、すべての数値に出典(組織名+資料名+年)を明記しています。
このレポートで使用した数値は、すべて総務省・経済産業省など公的機関が公表した調査報告書に記載された実データです。架空の調査・推計の混入はありません。各セクションの数値には出典を併記し、末尾に参考文献一覧を掲載しています。
SNS・動画利用実態とは何を指すか
「SNS・動画利用実態」とは、生活者が各SNS・動画プラットフォームをどの程度利用しているか(利用率)、どのくらいの時間を費やしているか(利用時間)、どの世代がどのサービスを使っているか(年代別利用率)を、調査によって定量化したものを指します。本記事では主に総務省情報通信政策研究所が毎年実施する「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」を一次情報として用います。
この調査は平成24年(2012年)から毎年実施されており、令和6年度調査で13回目にあたります。令和6年度調査は従来の13歳〜69歳に加え、今回から70代を含む13歳〜79歳を対象とした点が特徴です(総務省情報通信政策研究所「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」2025年6月公表)。中小企業が集客チャネルを選定する際、感覚や流行ではなく、こうした継続的な公的統計を前提に置くことが、投資判断の精度を高めます。
主要SNS・動画プラットフォームの利用率(全年代)
まず、各プラットフォームが全年代でどの程度使われているかを確認します。下表は総務省の最新調査による全年代の利用率です。
| プラットフォーム | 種別 | 全年代の利用率 | 出典 |
|---|---|---|---|
| LINE | メッセージ/SNS | 91.1% | 総務省「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」2025年 |
| YouTube | 動画共有 | 80.8% | 同上 |
| SNS | 52.6% | 同上 | |
| X(旧Twitter) | SNS | 43.3% | 同上 |
| TikTok | 動画共有 | 33.2% | 同上 |
| SNS | 26.8% | 同上 |
LINEは全年代で91.1%に達し、メッセージングを超えて生活インフラ化しています。動画共有系のYouTubeは80.8%で、SNS系を上回る到達力を持ちます。Instagram(52.6%)とX(43.3%)は半数前後、TikTok(33.2%)とFacebook(26.8%)は3割前後で、それぞれ世代・目的によって役割が分かれます。
ここで重要なのは、これらが「全年代」の数値である点です。SNSは若年層だけのものという見方は、少なくともLINEとYouTubeに関しては当てはまりません。中小企業が集客チャネルを設計する際、LINEとYouTubeは全世代の前提インフラ、Instagram・X・TikTokはターゲット世代に応じて選ぶ媒体、という整理が現実的です。
なお、各SNSが公表する国内月間利用者数(MAU)については、公式・公的に検証可能な最新の確定値を本記事の基準で確認できなかったため、本レポートでは利用「率」に絞って掲載しています。利用率は無作為抽出のサンプル調査に基づく検証可能な公的データであり、媒体間の比較に適しています。
年代別に見るSNS・動画の利用率
プラットフォームごとに、どの世代が中心ユーザーかは大きく異なります。総務省調査の年代別データから、集客設計に直結するポイントを整理します。
| プラットフォーム | 年代別の特徴(利用率) | 出典 |
|---|---|---|
| LINE | 10代〜60代で90%超、70代でも71.8% | 総務省「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」2025年 |
| YouTube | 10代〜40代で90%超 | 同上 |
| X(旧Twitter) | 20代が最も高く78.0%、60代は22.1% | 同上 |
| 10代〜30代で70%超 | 同上 | |
| TikTok | 10代が最も高く65.7% | 同上 |
LINEは70代でも71.8%が利用しており、シニア層へのリーチ手段としても機能します。YouTubeは10代から40代の中核世代で90%を超え、幅広い年齢層の動画視聴基盤になっています。
一方、Xは20代で78.0%と突出する反面、60代では22.1%にとどまり、世代差が極端です。Instagramは10代から30代で70%を超え、若年〜現役世代向けの視覚訴求に強みがあります。TikTokは10代で65.7%と、最も若い世代に深く浸透しています。
この年代差は、集客の打ち手を変えます。シニア層を含む幅広い顧客にはLINEとYouTube、20代の獲得にはXやInstagram、10代へのブランディングにはTikTokやショート動画、というように、ターゲット年代から逆算してチャネルを選ぶことが、限られた予算を無駄にしない前提になります。媒体ごとの使い分けの実務は、別記事「TikTok・Reels・YouTubeショート使い分け2026|媒体別アルゴリズム」で詳しく整理しています。
メディア利用時間の構造変化
利用率と並んで重要なのが、生活者が各メディアにどれだけ時間を使っているかです。可処分時間の配分は、どこに情報を置けば届くかを直接左右します。
| メディア行動 | 平日・全年代の平均利用時間 | 出典 |
|---|---|---|
| インターネット(利用全体) | 181.8分 | 総務省「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」2025年 |
| テレビ(リアルタイム)視聴 | 154.7分 | 同上 |
| ソーシャルメディアを見る・書く | 34.7分 | 同上 |
| メールを読む・書く | 38.9分 | 同上 |
平日のインターネット平均利用時間は181.8分で、テレビ(リアルタイム)視聴の154.7分を約27分上回りました。生活者の可処分時間において、ネットがテレビを超えたことは、集客の主戦場がオンラインへ移ったことを示します。
さらに同調査では、平日・休日ともに最も長く費やされるメディア行動が「動画投稿・共有サービスを見る」であることが報告されています(総務省「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」2025年)。テキストや画像よりも動画に費やす時間が長いという事実は、中小企業が情報発信のフォーマットを考える際の重要な前提です。視聴者の時間が集中する場所に、自社の情報を動画で置くことの合理性は高いと言えます。
ソーシャルメディアの平日利用時間は34.7分です。一見短く見えますが、これは「見る・書く」という能動的行動に限った数値であり、動画視聴を含めれば生活者がデジタル空間に費やす時間はさらに大きくなります。
ショート動画・動画視聴の利用動向
動画、とりわけショート動画の伸びは、若年層を中心に顕著です。前掲のとおり、TikTokの利用率は全年代33.2%・10代65.7%、YouTubeは全年代80.8%・10代〜40代90%超です(総務省「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」2025年)。
加えて、最も長く視聴されるメディア行動が「動画投稿・共有サービスを見る」である点を踏まえると、動画は「数あるコンテンツ形式の一つ」ではなく、生活者の視聴行動の中心に位置づけられつつあると評価できます。
中小企業にとって、この動向は次の意味を持ちます。第一に、縦型ショート動画はスマートフォン視聴に最適化されており、制作のハードルが下がっている今、参入しやすい領域です。第二に、媒体ごとにアルゴリズムや尺の特性が異なるため、闇雲に投稿するのではなく、利用率データに基づいてターゲット世代の多い媒体から着手するのが効率的です。具体的な発信設計は後述のサービス案内および関連記事を参照してください。
消費者の情報収集・購買前行動と市場規模
SNS・動画利用の拡大は、消費の入口を変えています。検証可能な公的データから、購買行動とEC市場の実態を確認します。
経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査報告書」(2025年8月公表)によると、2024年の日本国内BtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は26兆1,225億円で、前年比5.1%増となりました。内訳は下表のとおりです。
| 区分 | 2024年の市場規模 | 前年比 | 出典 |
|---|---|---|---|
| BtoC-EC(全体) | 26兆1,225億円 | +5.1% | 経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査報告書」2025年 |
| 物販系分野 | 15兆2,194億円 | +3.70% | 同上 |
| サービス系分野 | 8兆2,256億円 | +9.43% | 同上 |
| デジタル系分野 | 2兆6,776億円 | +1.02% | 同上 |
| 物販系のEC化率 | 9.78%(前年比+0.40pt) | ― | 同上 |
| BtoB-EC市場規模 | 514兆4,069億円 | +10.6% | 同上 |
物販系分野のEC化率は9.78%で、前年から0.40ポイント上昇しました。まだ物販全体の約1割という水準ですが、オンラインで商品を比較・購入する習慣が定着しつつあることを示します。BtoB-ECに至っては市場規模が514兆4,069億円、EC化率43.1%(前年比+3.1ポイント、同調査)に達しており、事業者間取引でもオンライン化が進んでいます。
購買の入口がスマートフォンに移っている点も見逃せません。経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査報告書」(2025年)によると、2024年の物販系BtoC-ECにおけるスマートフォン経由の市場規模は9兆3,904億円で、物販系EC全体に占めるスマートフォン比率は61.7%に達しました。生活者は外出先や移動中、スキマ時間にスマートフォンで商品を探し、比較し、購入しています。前述のとおり最も長く視聴されるメディア行動が動画であることと合わせて考えると、スマートフォンで縦型動画を視聴している最中に商品やサービスと出会う、という導線がいかに重要かが分かります。
購買前の情報収集についても、消費者庁の調査が裏づけを与えます。消費者庁「令和5年度消費者意識基本調査」では、商品・サービスを選ぶ際に「インターネット上の口コミや評価を参考にする」と回答した層が高い割合を占めることが報告されています。SNSやレビューで評判を確認してから購入を判断する行動が、もはや一部の消費者に限らないことを示すデータです。中小企業にとって、SNS・動画での情報発信は「売る前に見つけてもらい、信頼してもらう」ための前提条件になっています。
中小企業のデジタル化・SNS活用の実態
最後に、発信する側である中小企業の状況を確認します。中小企業庁「2024年版中小企業白書」では、紙や口頭による業務が中心でデジタル化が進んでいない「段階1」と回答する事業者の割合が減少傾向にある一方、デジタル化に取り組めていない中小企業・小規模事業者も一定数存在し、さらなるデジタル化の進展が期待されると報告されています(中小企業庁「2024年版中小企業白書」2024年)。
つまり、生活者側のSNS・動画利用は全世代に広がっているのに対し、事業者側のデジタル発信には依然として差があります。この需給ギャップは、早く着手した中小企業ほど相対的に有利になることを意味します。LINE・YouTube・Instagram・TikTokといったチャネルに生活者が集まっている以上、そこに自社の情報を置けていない状態は、機会損失そのものです。
中小企業がSNS・動画活用に踏み出す際は、(1) ターゲット世代の利用率が高い媒体を選ぶ、(2) 視聴時間が集中する動画フォーマットを軸にする、(3) 購買前の情報収集に応える内容を発信する、という3点を、本記事で示した公的データに基づいて設計することが、無駄のない第一歩になります。MEOやGoogleビジネスプロフィールとの連携で来店につなげる設計は、関連記事「動画とMEO・SNSの連携|GBP動画投稿で来店を増やす設計」で具体的に解説しています。
まとめ:データが示す「集客の前提」
本レポートで確認した公的データは、次の事実を示しています。LINEは全年代91.1%・YouTubeは80.8%という到達力を持ち、平日のネット利用時間(181.8分)はテレビ視聴(154.7分)を超え、最も長く視聴される行動は動画視聴である――いずれも総務省「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(2025年)に基づく実数値です。加えて、国内BtoC-EC市場は26兆1,225億円規模に達しています(経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査報告書」2025年)。
中小企業の集客において、SNS・動画はもはや「やるかどうか」を検討する選択肢ではなく、生活者の時間と購買行動がそこにある以上、設計の前提です。本記事の数値を、自社のチャネル選定・発信フォーマットの判断材料として活用してください。
当社では、こうした公開データを踏まえたSNS・ショート動画の集客設計から制作・運用までを支援しています。動画制作・運用支援は単発150,000円〜、月額450,000円〜(いずれも税抜)でご相談を承っています。サービスの詳細は動画制作・運用支援のサービスページをご覧ください。
参考文献(出典一覧)
- 総務省情報通信政策研究所「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」(2025年6月公表)
- 総務省「令和7年版 情報通信白書」(2025年)
- 経済産業省 商務情報政策局 情報経済課「令和6年度電子商取引に関する市場調査報告書」(2025年8月公表)
- 消費者庁「令和5年度消費者意識基本調査」(2024年)
- 中小企業庁「2024年版中小企業白書」(2024年)
※本記事の数値は、上記の公的機関が公表した調査報告書に記載された実データに基づいています。各SNSの月間利用者数(MAU)等のうち、公的・公式に検証可能な確定値を本記事の基準で確認できなかったものは、誤った数値を載せないため掲載していません。
