業務改善の事例で最も参考にならないのは、うまくいった話だけが書かれているものです。 どこでつまずいたかが分からないと、自社に当てはめる判断ができません。この記事では、当社が自社で運用している3件を、つまずいた点も含めて公開します。
対象に選んだ業務の条件
3件とも、次の条件で選んでいます。
| 条件 | 理由 |
|---|---|
| 毎日または毎週やっている | 効果が積み上がる |
| 手順が決まっている | 自動化の設計がしやすい |
| 間違えても取り返しがつく | 失敗を許容できる |
3つ目が最も重要です。 最初の1件で「間違えると取引先に迷惑がかかる業務」を選ぶと、慎重になりすぎて進みません。
事例1:サイト記事の公開作業
やっていたこと
記事の下書きを作り、体裁を整え、公開設定をし、検索エンジンへ更新を通知する。1本あたり複数の手作業が発生していました。
やったこと
原稿の作成から公開・インデックス送信までを一連の処理としてつなぎました。現在、更新から本番反映までは約15分です。 2026年9月時点で、サイトには664本の記事が公開されています。
つまずいた点
公開前の確認をどこに入れるかで一度やり直しました。 最初はすべて自動で公開する設計にしましたが、内容の確認が抜ける状態になりました。現在は公開前に人が読む工程を戻しています。
「全部自動」が最適とは限りません。 確認の工程を残したまま、その前後を自動化するほうが実務では安定します。
残ったこと
作業時間が減っただけでなく、手順が仕組みとして残ったことが大きいと考えています。担当が変わっても同じ手順で動きます。
事例2:ページの表示速度に関わる処理の見直し
やっていたこと
サイトの全記事を扱う処理で、同じファイルを何度も読み直す構造になっていました。記事数が増えるにつれ、公開までの処理時間が伸びていました。
やったこと
同じ内容を繰り返し読む部分を、一度読んだ結果を使い回す形に変更しました。この見直しはAIに構造を読ませて、どこで重複が起きているかを特定する形で進めました。
つまずいた点
最初に立てた原因の仮説が外れました。 別の箇所が原因だと考えて調べたところ、実際には全く違う処理が原因でした。
AIに原因を聞いて、そのまま信じると遠回りします。 出てきた仮説を実際に測って確かめる工程が必要でした。
残ったこと
処理の構造を文書として残しました。次に同じ問題が起きたとき、どこを見ればよいかが分かる状態になっています。
事例3:問い合わせ導線の不具合の発見
やっていたこと
サイトの問い合わせボタンから、フォームまで到達しない状態が一定期間続いていました。ボタンは押されているのに、フォームの入力が始まらない記録が残っていました。
やったこと
計測データを見て、「押された数」と「入力が始まった数」の差から不具合を特定しました。修正後は入力の開始が記録されるようになっています。
つまずいた点
気づくまでに時間がかかりました。 ページは正常に表示されており、エラーも出ていなかったためです。定期的に数値を確認していなければ、さらに気づくのが遅れていました。
残ったこと
「押された数」と「次の行動の数」を並べて見る習慣が残りました。片方だけを見ていると、途中で切れていることに気づけません。
3件から言えること
| 学んだこと | 内容 |
|---|---|
| 全部自動が最適とは限らない | 確認の工程を残し、その前後を自動化する |
| AIの出した仮説は測って確かめる | 最初の仮説が外れることは普通にある |
| 数値は単独ではなく並べて見る | 途中で切れている箇所は差分でしか見えない |
| 手順が仕組みとして残ることが本質 | 時間短縮より、担当が変わっても回ることが価値 |
自社で始めるときの順番
- 毎週やっている業務を書き出す(10個程度)
- 手順が決まっているものに印をつける
- 間違えても取り返しがつくものを1つ選ぶ
- 現在の作業時間を1週間測る(見込みではなく実測)
- 既存ツールで置き換えられるか試す
- 置き換えられないなら、開発を検討する
4番を飛ばさないでください。 実測がないと、改善後に何が変わったか判断できません。
5番で足りることは実際に多くあります。 開発が必要かどうかは、既存ツールで試してから判断してください。
研修と開発の切り分け
| 範囲 | 必要なもの |
|---|---|
| 既存ツールを使って手作業を減らす | 研修 |
| 全員が同じ手順でできる状態にする | 研修+ルール整備 |
| 仕組みとして自動で動かす | 開発 |
| 社内システムと連携させる | 開発 |
当社の研修は、ライト(半日)150,000円、スタンダード(1日)300,000円、伴走定着(組織)500,000円/月です(いずれも税抜)。開発が必要な範囲は、業務自動化ミニ開発300,000円〜からご提案しています。
初回相談で「どちらが必要か」の切り分けからお話しできます。 研修は不要で開発だけで足りる場合、その旨をお伝えします。
初回30分の相談は無料・オンライン対応・秘密厳守です。
まとめ
- 最初の1件は「間違えても取り返しがつく業務」から選ぶ
- 全部自動が最適とは限らない。確認の工程を残し、その前後を自動化する
- AIが出した原因の仮説は、測って確かめる
- 数値は単独ではなく並べて見ると、途中で切れている箇所が見つかる
- 本質は時間短縮より「手順が仕組みとして残ること」
- 開発の前に、既存ツールで置き換えられるか試す
関連記事:
