ChatGPTのdots(ドッツ)は、話しかけたときだけ答えるAIではなく、任せた仕事を専用のコンピューターで進め続けるエージェントです。業務で使うかどうかは、次の4点で決めます。
- 何ができるか:GPT-6 Astraを搭載し、専用のクラウドコンピューターとブラウザー、接続したアプリを使って、調べもの・資料づくり・定期的な確認を、会話していない間も進めます。ChatGPT・Slack・Teams・音声通話のどこから話しかけても同じdotです
- 誰が使えるか:日本ではProプランと、Businessのプレミアムシートで使えます。Enterpriseは管理者が有効にするとベータ版を試せます。段階的な提供のため、対象のプランでもすぐには出ないことがあります
- 何を任せるか:読むだけで済む確認と、下書きまでの作業から始めます。社外への送信、購入、削除のように戻せない操作は、承認を挟むか自分で行う設定にします
- どこで使うか:業務の情報を扱うなら、Businessのプレミアムシート以上で使います。会社のメールやファイルをつなぐ前に、学習への利用の設定と、異動や退職のときの消し方を決めておきます
この記事は、経営者、管理部門の責任者、社内でAIの使い方を決める担当者が、「dotsを業務で使うか」「使うなら何を任せ、何を人が判断するか」を決めるための記事です。機能の紹介より、日本の会社ですぐ試せる使い方と、つまずきやすい点に絞ります。内容は、OpenAIの公式発表・ヘルプセンター・料金ページを2026年10月18日に確かめたものです。dotsは提供開始から3週間ほどで、更新が続いています。
ChatGPT dotsとは:会話していない間も働くエージェント
dotsは、OpenAIが2026年9月29日に発表した、ChatGPTの中で常時動くエージェントです。1体ずつを「dot」と呼びます。公式の説明の要点は次のとおりです。
- GPT-6 Astraを搭載している
- 専用のクラウドコンピューター(ブラウザー付き)で作業する。作業中の画面はいつでも開いて確かめられ、「操作を引き継ぐ」で自分が操作することもできる
- プラグインを通じて、4,000以上のアプリに接続できる
- ChatGPT(デスクトップ・ウェブ・モバイルのアプリ)、Slack、Teamsからメッセージを送れる。音声通話もできる。どこから話しかけても同じdotで、文脈は引き継がれる
- ChatGPTのメモリを出発点にし、dot自身のメモも残しながら、好みや仕事の基準を学ぶ
- 話しかけていない間も、接続したアプリを読み取り専用で確かめ、役立ちそうなことを探す(OpenAIは「先回りリサーチ」と呼んでいます)
通常のチャット、ChatGPT Work、Codexとの違い
OpenAIの説明では、4つは次のように受け持ちが分かれています。
| 使うもの | 受け持つ仕事 | 当てはめの例 |
|---|---|---|
| 通常のチャット | すぐ答えがほしい質問 | 文章の言い換え、用語の確認 |
| ChatGPT Work | 調べもの・分析・ファイル作成などを、今すぐ、または日時を決めて任せるタスク | 今日中にまとめたい資料、毎週決まった時刻の定型レポート |
| Codex | ソフトウェアの作業 | 不具合の修正とテスト |
| dots | 続いていく役割。状況の変化を見て次の手を考え、会話の合間にも進める | 何週間も続く案件の追いかけ、届いた情報を見て動く仕事。必要ならWorkやCodexにタスクを渡す |
dotとの会話そのものは、ChatGPTの利用上限に数えません。dotがCodexやChatGPT Workでタスクを始めた場合は、それぞれの上限に通常どおり数えます。決まった作業を決まった時刻に回すだけなら、dotを通さずChatGPT Workに直接頼むほうが分かりやすい場面も多くあります。
日本で使えるプランと料金
| プラン | 料金 | 最初のdot | 学習への利用 |
|---|---|---|---|
| Pro | 月額16,800円から | 追加料金なし | 自分で設定する |
| Business(プレミアムシート) | 1人あたり月額15,250円(年額課金)、19,250円(月額課金) | 追加料金なし | 既定で使われない |
| Enterprise(Edu・Healthcareを含む) | 営業窓口に問い合わせ | ベータ版 | 既定で使われない |
料金は、2026年10月18日時点の日本の料金ページの表示です。Proは利用枠を3段階から選ぶ形で、表示は「月額16,800円から」です。日本ではProとBusinessのプレミアムシートで使えます。Proの対象は、欧州経済領域・スイス・英国以外に住む18歳を超えるユーザーです。Businessのプレミアムシートは、ChatGPTに対応するすべての地域で使えます。Enterpriseは既定でオフで、ワークスペースの管理者が有効にします。「学習への利用」は、OpenAIがモデルの改善に使うかどうかのことです。
会社で使うなら、Businessの組み合わせ方が現実的です。dotはプレミアムシートだけで使え、スタンダードシート(1人あたり月額3,050円・年額課金)には含まれません。Businessはシートの種類を自由に組み合わせられるので、dotを使う人だけをプレミアムシートにし、ほかの人はスタンダードシートにできます。Businessは2名から契約でき、従業員2〜200名のチーム向けです。
プランには、より高度な作業のための利用枠も含まれ、提供開始から最初の1か月は利用上限が引き上げられています。将来は、dotを増やす、作業の速度を上げる、月に引き受けられる作業量を増やす、といった拡張ができるようになると公式に書かれています。
提供開始の時点でできないこと
期待しすぎないために、2026年10月18日時点のヘルプセンターと公式発表で「できない」「今後」とされていることを先に押さえます。
- dot専用のメールアドレスは持たせられない(個人のメールアカウントを接続して使う)
- dotからあなたに電話をかけることはできない(あなたから通話することはできる)
- テキストメッセージは、米国のProユーザーに限った限定ベータ。Business・Enterpriseのワークスペースでは使えない
- モバイルのブラウザーには対応していない(スマホではChatGPTアプリで使う)
- 複数のdotでチームを組むこと、組織の特定の役割を担う業務特化型のdotは、今後の予定か、対象を絞った企業向けの試験導入の段階
現実的に任せやすい仕事:読むだけで済む確認と、下書きまで
dotsの強みは、続いていく役割を持てることです。始めに任せるなら、次の2種類が、失敗しても困りにくく、効果も見えやすい仕事です。
- 読むだけで済む定点確認:カレンダー、メール、公開情報を見て、変化だけを知らせる
- 下書きまでの作業:資料、返信、請求書などを用意し、送る・確定するのは人が行う
使い方1:毎朝の予定と、返信が要るメールを知らせる
ヘルプセンターにも例がある、いちばん始めやすい使い方です。カレンダーとメールを接続し、定期の確認を頼みます。
平日の朝8時に、今日の予定と、昨日から未返信になっている社外からのメールを確認して、
「今日の予定」「返信が要るもの(期限が近い順)」「会議の前に調べておくこと」を3行ずつで知らせてください。
メールは読むだけにして、返信や既読の変更はしないでください。
スケジュールしたタスクは、dotのプロフィールの「最近のアクティビティ」か、ChatGPTの「スケジュール済み」で、時刻や繰り返しを変えられます。最初の1週間は、知らせてくれた内容と実際の受信箱を見比べて、漏れがないかを確かめます。
使い方2:競合・取引先・制度の「変化だけ」を週1回まとめる
クラウドのブラウザーで公開情報を見に行く使い方です。営業や企画の担当者が毎週、手で見ているページを任せます。
毎週月曜の朝に、次のページを確認して、前の週から変わった点だけを報告してください。
・競合3社の料金ページとお知らせ(URL:…)
・申請を考えている補助金の公募ページ(URL:…)
変わった点がなければ「変化なし」とだけ書いてください。推測で補わず、確認したページのURLを添えてください。
注意点は2つです。サイトによっては、クラウドのブラウザーを遮断したり、追加の確認を求めたりします。そのときは接続したパソコンで試すよう頼めますが、別のタスクとして動き、使えるとは限りません。また、ログインが要るページは、dotのブラウザーで自分がログインする必要があります。自分のパソコンでログインしていても、dotのブラウザーは別のセッションです。
使い方3:月末の請求漏れを確かめ、請求書の下書きまで作る
OpenAIの発表には、初期テスターのdotが、ある媒体への請求を忘れていたことに気づき、請求書を作り、テスターの承認を得て送った例が載っています。日本の会社で真似るなら、送る直前で止める形にします。
毎月25日に、今月の案件管理表(スプレッドシート)と、送付済みの請求書のフォルダを見比べて、
請求書をまだ作っていない案件を一覧にしてください。該当する案件は、前回の請求書の書式で下書きを作ってください。
送信はしないでください。下書きができたら、案件名と金額の一覧で私に確認を求めてください。
金額や宛先を取り違える可能性は残ります。下書きの金額は、案件管理表の数字と人が照らし合わせてから送ります。
使い方4:会議の前日に、相手先の最近の動きを1枚にまとめる
カレンダーから社外との会議を拾い、相手先の公開情報(お知らせ、採用情報、プレスリリースなど)を前日にまとめてもらう使い方です。商談の準備にかかる時間を減らせます。出典のURLを添えさせ、事実と推測を分けて書かせると、確かめる手間が減ります。
使い方5(開発チーム向け):お客様の声から小さな修正を拾い、Codexに渡す
OpenAIが例に挙げている使い方です。問い合わせや要望を見て、繰り返し出てくる小さな不具合や改善を拾い、範囲を決めて実装とテストを行い、レビューできる状態の変更として届けます。dotはCodexで作業を始められ、10月9日の更新で、Codexでの作業の始め方と、続いているスレッドの引き継ぎが改善されました。Codexのクラウド環境を使う場合は、先にCodexで環境を作っておきます。
任せない仕事と、承認を挟む場所の決め方
dotは、アカウントに影響したり、情報を共有したりするおそれのある操作の前に、自動のレビューで「そのまま進める」「承認を求める」「ユーザーに渡す」を判断します。パスワードの変更のように、ユーザー自身が行う決まりの操作もあります。そのうえで、カスタムルールを足すと、操作ごとに次の4つから動きを選べます。
- 確認なしで実行
- 事前承認済みの場合に実行(プロンプトで、その操作をはっきり頼んだ場合のこと)
- 実行前に確認
- ユーザーに引き継ぎ
当社がすすめる最初の設定は次のとおりです。ヘルプセンターには、dotはルールに従うときも間違えることがあると書かれているので、戻せない操作ほど人を挟みます。
| 操作 | 最初の設定 | 理由 |
|---|---|---|
| カレンダー・メール・ファイルを読む、公開情報を調べる | 確認なしで実行 | 読むだけで、外に影響しない |
| 自分あてのメモ、社内向けの下書きを作る | 確認なしで実行 | 人が見てから使う |
| 社外へのメール送信、社外の人がいるチャンネルへの投稿 | 実行前に確認 | 送った内容は取り消せない |
| 社外の参加者がいる予定の作成・変更 | 事前承認済みの場合に実行 | 相手に通知が届く。頼んだときだけ動かす |
| 購入・支払い・申し込み | ユーザーに引き継ぎ | お金と契約は人が行う |
| ファイルやデータの削除 | ユーザーに引き継ぎ | 元に戻せない |
あわせて、思わぬ事故を防ぐために知っておきたい仕様が3つあります。
- 下書きを頼んでも、送信を許したことにはなりません。送ってほしいときは、送信をはっきり頼みます
- カスタムルールで、アプリやコンピューターへのアクセスを許可したり、組み込みの安全対策を外したりはできません
- タスクを止めても、すでに終わった操作は元に戻りません
AIエージェントに渡す権限の考え方は、AIエージェントの安全設計(ガードレール)|社内導入の権限設計でも整理しています。
会社で使う前に決めておく5つのこと
- 誰のアカウントで使うか:会社のメールやファイルをつなぐなら、Businessのプレミアムシート以上で使います。dotを使う人だけをプレミアムシートにする組み合わせもできます。個人のProを仕事に使う場合は、モデルの改善に使うかの設定を確かめます
- 何をつなぐか:プラグインは、使い方に要るものだけをつなぎます。dotは、聞かれていなくても接続先の情報を確かめ、メモリを作ることがあります
- 自分のパソコンをつなぐか:ローカルのパソコンへのアクセスは既定でオフで、つなげるのは1台です。デスクトップアプリで「アクセスを許可」すると、どのチャネルからでもそのパソコンのファイルを扱えるようになります
- 誰が結果を見るか:デスクトップアプリでdotのプロフィールを開くと、進行中・スケジュール済み・完了の作業を確かめられます。週に1回、dotが何をしたかを見る時間を決めます
- やめるときにどう消すか:アプリの接続を外しても、dotがすでに取り込んだ情報は消えません。消すにはdotのリセットが必要で、会話・保存済みのメモリ・スケジュール済みのタスクがまとめて消えます。異動や退職のときの手順に入れておきます
最初の2週間の進め方
| 時期 | やること | 確かめること |
|---|---|---|
| 1日目 | dotを作り、名前を付ける。カレンダーとメールだけを接続する | dotの自己紹介と提案が、自分の仕事に合っているか |
| 2〜5日目 | 毎朝の確認(使い方1)を1つだけスケジュールする | 知らせた内容と受信箱を見比べ、漏れや誤りがないか |
| 2週目の前半 | 定点確認(使い方2)を1つ足す。カスタムルールを上の表のとおりに入れる | 報告に出典のURLが付いているか。遮断されたサイトがないか |
| 2週目の後半 | 下書きまでの作業(使い方3か4)を1つ試す | 下書きを直す時間と、自分で作る場合の時間の差 |
2週間で「自分でやるより速い仕事」が1つも見つからなければ、無理に広げず、通常のチャットやChatGPT Workで足りる仕事だと判断してかまいません。
初期の利用者から出ているつまずき
OpenAIの開発者コミュニティには、提供開始からの2週間ほどで、次のような声が出ています。OpenAIの公式見解ではなく、利用者の報告です。
- カレンダーの予定の作成や移動はできたが、一部の予定の編集がGoogle側の制限でエラーになり、小さな失敗の立て直しに思った以上の手間がかかった
- パソコンのブラウザーやiOSアプリから、dotとの通話がつながらなかった
- 離れた場所から承認するときの操作が使いにくい
- 欧州や英国では使えないので、対象地域を広げてほしい
OpenAIは10月9日の更新で、モバイルアプリからのdotの作成、Codexへの作業の引き継ぎ、ChatGPT Workの定期タスクの確認と編集、ブラウジングの速さ、Outlookの設定のつまずきなどを改善しています。今は「毎週のように変わる新しい機能」と考えて、任せる範囲を少しずつ広げるのが現実的です。
当社の研修が向く場合・向かない場合
- 自分1人で試すだけなら、この記事と公式のヘルプセンターで足ります
- 部署やチームで使い、任せる範囲・承認を挟む場所・接続するアプリをそろえたい場合は、研修や伴走が向きます
- dotsに限らず、ChatGPT・Claude・Geminiを業務でどう使い分けるかから決めたい場合も、同じ研修の中で扱えます
| プラン | 料金 | 初期費用・契約条件 | 含まれるもの |
|---|---|---|---|
| ライト(半日) | ¥150,000/ 人(税抜・5名様〜) | 5名で受講した場合 ¥750,000 | ChatGPT・Claude基礎/プロンプト設計術/業務活用デモ |
| スタンダード(1日)おすすめ | ¥300,000/ 人(税抜・5名様〜) | 5名で受講した場合 ¥1,500,000 | ライトの全内容/業種別ワークショップ/自社業務への適用演習/AIリスク管理講習 |
| 伴走(個人) | ¥100,000/ 月・1名(税抜) | — | 月2回オンライン研修/チャットサポート/個別のAI活用フォロー/AI活用レポート |
| 伴走定着(組織) | ¥500,000/ 月(税抜) | — | 組織へのAI定着を伴走/AI推進体制・運用ルールの設計/部門横断の活用支援/月次レポート |
相談のときに伝えるとよいこと
- 使っているChatGPTのプラン(Pro・Business・Enterprise)と、使う人数
- dotsに任せたい業務と、今その業務にかかっている時間
- 接続したいアプリ(メール、カレンダー、Slack、Teams、ファイルの保存先など)
- 社外に送る操作や、お金が動く操作があるか
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出典
この記事で参照した外部の文書です。確認日はいずれも2026-10-18です。
- OpenAI「dots のご紹介」(2026年9月29日)。GPT-6 Astraの搭載、専用のクラウドコンピューター、4,000以上のアプリへの接続、ChatGPT・Slack・Teams・音声通話でのやり取り、先回りリサーチが読み取り専用であること、カスタムルール、Business・Enterprise・Eduの内容を既定でモデルの改善に使わないこと、対象プランと追加料金なしの最初のdot、利用上限の扱い、初期テスターの請求書の例、業務特化型dotの試験導入
- OpenAI ヘルプセンター「dot スタートガイド」。対象地域とプラン、作成できる環境、ローカルのパソコンへのアクセス、アプリの接続を外しても取り込んだ情報が残ること、専用メールアドレスと電話の発信ができないこと、テキストメッセージの限定ベータ、カスタムルールの4つの動作、下書きの依頼が送信の許可にならないこと、リセットで消えるもの、クラウドのブラウザーのログイン
- ChatGPT Learn「dots」。チャット・ChatGPT Work・Codex・dotsの受け持ち、つなげるパソコンが1台であること、タスクを止めても終わった操作は戻らないこと、利用上限の扱い
- ChatGPT Learn「dots の10月9日の更新」。モバイルアプリからの作成、Codexの作業の開始と引き継ぎ、ChatGPT Workの定期タスクの確認と編集、ブラウジングや通知などの改善
- ChatGPT「プランと料金」と「ビジネス・エンタープライズ向け」。日本の表示でProが月額16,800円からで3段階の利用枠から選べること、Businessのプレミアムシートが1人あたり月額15,250円(年額課金)・19,250円(月額課金)、スタンダードシートが3,050円(年額課金)・3,850円(月額課金)であること、dotがプレミアムシートで使えること、シートの種類を組み合わせられること、従業員2〜200名のチーム向けで、企業向けプランは2名から使えること
- OpenAI Developer Community「Who's using Dots? Are they connecting the dots for you?」(2026年9月30日〜10月12日の投稿)。利用者が報告したつまずき(OpenAIの公式見解ではない)